【外壁塗装の基本②】塗装が難しい外壁とは?
建物の定期的なメンテナンスとして外壁塗装をする際、塗料がうまく塗れない(密着しない)外壁があるのはご存知でしょうか?
せっかくの塗装がムダになってしまいかねないため、塗り替えを検討する際は慎重に判断をしなくてはいけません。まずはご自宅の建物の外壁に使われているものが何かをあらかじめ知っておいた方がいいでしょう。
そこで今回は、外壁塗装の塗り替え前に知っておきたい「塗装が難しい外壁」についてご紹介いたします。
■高機能だが、再塗装が難しい「難付着サイディング」とは?
「難付着サイディング」という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?なかなか耳慣れないかと思われます。
これは、表面に特殊(=高機能)なコーティングを施しているサイディングのことを指します。「光触媒、無機、フッ素、親水性」など、汚れにくく色あせしにくい機能を持ち合わせたものと言えば、よりイメージが湧くかもしれません。
難付着サイディングを使った建物は、外観が汚れにくく美しさも長持ちするため、人気があるのも事実です。とはいえ、いくら汚れにくいといっても、汚れが全くつかないというわけではありません。そのため、メンテナンス要らずということではないのです。
外観上は美しく見えていたとしても、やはりある程度の劣化は避けらないため、やがてカビやヒビ割れなどの問題も発生してくる場合があります。
そこで、どこかの節目で(10年~10数年単位が目安)塗り替えを検討することになりますが、ここで問題となるのが、元々が汚れのつきにくい素材なだけに、メンテナンスの塗り替えも難しいということ。適した塗料を使用しないと塗膜剥がれにもつながります。
こうした事実は、専門外である一般の皆様にとっては驚かれることでしょう。
それでは次のトピックでは、一見では見分けのつきにくい「難付着サイディング」の見分け方をご紹介したいと思います。
■難付着サイディングの見分け方
難付着サイディングかどうかは外観からではわかりません。まずは以下で紹介する方法で確認しましょう。
(見分け方①)建物の仕様書などを確認
自宅の建築時にハウスメーカーからいただく設計書や仕様書などで、外壁に使われた製品名や品番を確認することができます。紛失していなければ、こちらを確認するのが確実です。
(見分け方②)建築年代で確認
光触媒や親水性等の新技術が開発され、高機能な塗料として建築業界でも使われるようになったのは2001年から。そこで2000年までに建築されている建物なら、基本的に難付着サイディングではなく普通のサイディングだと考えられます。
一方、2001年以降の建築で、新しい建物になればなるほど難付着サイディングを採用している可能性は高い傾向にあります。
(見かけ方③)チョーキング(白亜化)が10年経過しても見られない
従来使われてきたサイディングは、10年も経てば劣化でチョーキング(白亜化)が発生することが多い素材です。(※手で外壁の表面を触ってみると、白い粉状のものが着くことがありますが、これが『チョーキング』という状態となります。)
一方、難付着サイディングは、汚れがつきにくく色あせせず、耐久性も高い素材です。従来のサイディングのように10年でチョーキングが発生することはありません。
(見かけ方④)ラッカーシンナーで塗料が溶けるかどうか
塗料の溶剤として使われるシンナーより溶解力の高い「ラッカーシンナー」というものがあります。このラッカーシンナーを使って外壁の一部分を強めにこすってみます。
もし塗料が溶けなければ難付着サイディングであり、塗料が溶けた場合は従来のサイディングだとわかります。
以上、4つほど見分け方をご紹介いたしました。それでももしわからないようであれば、塗装の専門業者に相談してみるのもひとつです。
■難付着サイディングに再塗装したい時はどうする?
さきほどご紹介した見分け方で「どうやら我が家は難付着サイディングを使っているようだ」とわかり、今後の自宅の改修はどうすればいいのかとお悩みになった方もいるかもしれません。
結論から言えば、難付着サイディングを使った外壁でも塗装は可能ですのでご安心ください。さらに言えば、冒頭でもお伝えした通り、いくら汚れがつきにくく色あせしにくいといっても劣化はある程度していくため、やはり10年以降を目安になんらかのメンテナンスが必要となります。
【難付着サイディングを再塗装する際は?】
塗装する際は、必ず専用の下塗り材を使用することになります。下塗り材については各メーカーから出ているので、専門業者としっかりと確認の上で塗装作業を進めてもらうようにしましょう。 |
【各メーカーの対応専用下塗り材】
メーカー名 | 下塗り材名 |
関西ペイント | アレスダイナミックシーラーマイルド |
日本ペイント | ファインパーフェクトシーラー |
菊水化学工業 | キクスイSPパワーシーラー |
エスケー化研 | エスケーハイブリッドシーラーEPO |
塗装が難しい外壁であっても、定期的なメンテナンスは必要です。
塗装を行う際は、外壁の判断や塗料の選定などで失敗しないように、正しい知識をもった専門業者にお願いしましょう。