外壁塗装で使用される塗料には、「水性塗料」と「油性塗料」の2種類に分けられることをお伝えしました。実は、塗料はさらに「1液型」と「2液型」というものもあります。

そこで今回は、1液型と2液型の塗料の耐久性や価格の違いやその他の特徴などについてご紹介いたします。

■塗料の「1液型」・「2液型」とは?

塗料には「1液型」「2液型」という分類があります。

1液型

1液型とは、1つの容器(缶)の液体のみで塗料として使えるものを指します。

使用する際は、容器に水、または溶剤(シンナー)を入れて、薄めて使うことになります。

2液型

2液型とは、塗料と硬化剤がそれぞれ別の容器(缶)に分かれているもので、使う直前に水、または溶剤(シンナー)を入れて混ぜることで塗料として使えるものを指します。

塗料の種類溶剤塗料の型
水性塗料1液型
2液型
油性塗料(硬化反応型塗料)弱溶剤(弱いシンナー)1液型
2液型
強溶剤(強いシンナー)1液型
2液型

元々、塗料は「2液型」のみ

かつて、外壁で使う塗料には「2液型」しかなく、塗装業者が取り扱いをする際はとても手間のかかるものでした。塗料と硬化剤は混ぜるとすぐに固まり始めてしまうため、時間の経過とともに硬化が進み、数時間ほどでカチカチになってしまう程だったためです。

もちろん塗料をたくさん作り置きすることも不可能で、塗装でその日に使う分だけを作り、数時間のうちに使い切らなくてはいけません。また、2液型は2つの液体を混合・攪拌するため、その比率に細心の注意も要します。

こうした現場の声から、新たに開発・販売されるようになったのが、「1液型塗料」です。

技術開発によって「1液型」が誕生

1液型塗料は、あらかじめ硬化剤が適切な分量で含まれている状態のため、塗料と硬化剤を別途混ぜる必要がなく、溶剤で薄めてすぐに使うことができるので作業性が高い塗料として誕生しました。従来の「硬化剤を混ぜると、すぐに固まる」というデメリットが、技術開発によって「固まらない」塗料に進歩した塗料となったのです。

とはいえ、現在も1液型・2液型の両方が使われているのは、それぞれに良さがあり、建物の状況に応じた使い分けがされているのが実情となっています。

次のトピックでは、1液型と2液型のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。

■1液型・2液型塗料のメリット・デメリット

それでは、1液型・2液型塗料のメリット・デメリットをご紹介いたします。

1液型のメリット

・(2液型と比較して)価格が1割ほど安い。

・塗料と硬化剤の混合・攪拌の手間暇がかからない。

・残った塗料は、次の日以降も塗装に使うことが可能。

1液型のデメリット

・(2液型と比較して)耐久性・耐候性にやや劣る。

・半年~1年程で使い切る必要がある。

・混合済みの硬化剤の成分が劣化すると、塗膜の性能も落ちる。

・使用可能な箇所・素材が限定される。

2液型のメリット

・(1液型と比較して)耐久性・耐候性に優れている。

・様々な箇所・素材に塗ることができる。

・混ぜる前は別々の液体なので、硬化の心配がなく保管しやすい。

2液型のデメリット

・(1液型と比べて)価格が高い。

・2つの液体の混合・攪拌の手間暇がかかり、その比率に細心の注意を要する。

・塗料と溶剤を混ぜたらすぐに硬化が始まるため、数時間以内に使い切る必要がある。

このように、それぞれにメリット・デメリットが存在しています。その中でも大きなポイントは以下の2つです。

1液型の方が耐用年数は短い(2液型の方が長持ち)

1液型・2液型を比較すると、1液型の方が耐用年数は短くなります。仮に同じ自然条件で2つの塗料を別の建物に塗ると、1液型を塗った建物より2液型を塗った建物の方が長持ちする傾向があります。2液型の方がより強靭な塗膜を形成されることで、雨や風、紫外線などから外壁を長い間守ることができるためです。

そのため、少々コストが高くても長持ちさせたいということであれば、2液型を選んだ方が良いということになります。

②2液型の方がいろいろな箇所・素材に塗れる(1液型は金属部NG)

耐用年数以外の違いのほかにも、塗る箇所や素材に違いが出てきます。それは「金属部に塗れるかどうか」です。

1液型の場合、基本的に金属部に塗るのは不向きで、コンクリート、セメントモルタル、サイディングボード、各種旧塗膜に使用可能とされています。

一方、2液型ではコンクリート、セメントモルタル、サイディングボード、各種旧塗膜、ALCパネル、スレート板、GRC板、押出成形セメント板、鉄部、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、ステンレスなども可能です。

塗装する建物に金属がない場合は1液型で問題ありませんが、コンクリートと金属が混在するような場合は不向きとなり、2液型の方が良いとされます。

■1液型・2液型塗料にはそれぞれの良さがあり

今回は1液型・2液型の塗料についてご紹介しました。それぞれの違いについてご理解いただけたかと思います。外壁塗装をする際は、それぞれの塗料タイプの特徴をしっかりと把握した、信頼のおける専門業者にお願いすることをおすすめします。