いざ「塗装をしよう!」と思い、いろいろと調べていくと塗料には驚くほどの種類があることを初めて知った、という方もいらっしゃいます。
実際、塗料はさまざまなメーカーからも出ているだけに、一体どれがいいのか判断が難しいものです。用途や塗装する場所によって、使い分けされているのが実情です。
そこで今回は、塗料の基本的な知識でもある「水性塗料」と「油性塗料」の違いについてご紹介いたします。
■「水性塗料」と「油性塗料」の違い
塗料には、大きく分けて「水性塗料」と「油性塗料」の2種類があります。
そもそも、この2つの塗料の一番大きな違いとなるのが、共通する成分である顔料、樹脂、添加物などの固体を希釈するための「溶剤」です。
それでは、水性塗料と油性塗料のそれぞれの特徴とメリット・デメリットについて見ていきましょう。
■水性塗料について
水性塗料は、簡単に言えば「顔料や樹脂などを水で薄めた塗料」です。塗装後に水分が蒸発することで乾くタイプのため、溶剤から発生する独特な臭いはあまり感じることはありません。
水を使用する分、耐久性や密着性には劣るものの、大気汚染やシックハウス症候群の原因にもなる揮発性有機化合物(VOC)の排出がほとんどないため、環境に優しく安全性の高い塗料となっています。
【水性塗料の特徴】
水性塗料 | |
溶剤の成分 | 水 |
臭いの有無 | ほぼない、または少ない |
耐久性・持続性 | (油性塗料に比べると)劣る |
人体や環境への影響 | 影響は少ない |
光沢の持ち | 徐々に落ちる |
塗り方 | 住宅の内装などで使用でき、扱いやすい |
保管方法 | 特に注意することはなく保管しやすい |
乾燥にかかる所要時間 | (気温や湿度にも影響されるが)約3~4時間 |
価格 | 安い |
水性塗料のメリット
- 水性塗料には有機溶剤(シンナー)が使用されていないことから、乾燥時に発生する独特な刺激臭はありません。
- シンナーが含まれていないことから、引火の危険性がありません。
- 塗布する際に使うハケやローラーなどの道具類も水道水で水洗いすることができます。
- 水道水で希釈することができます。
水性塗料のデメリット
- 乾燥時間は気温や天候に影響を受けるため、気温が高い季節や梅雨などの時期は通常よりも時間が多くかかります。
- 塗る素材によって密着度に違いが出るため、向き・不向きな素材があります。
向いている素材:木材、モルタル、窯業系サイディング
不向きな素材:アルミ、ステンレスなどの金属
屋外で使える水性塗料もある
かつては水性塗料といえば「室内用」というイメージがありましたが、メーカー各社の開発もどんどん進み、現在は屋外使用可能な水性塗料も販売されています。その場合、「屋外用」と表示されています。
■油性塗料について
油性塗料は、有機溶剤(シンナー)の揮発によって乾燥する塗料です。乾燥する時は独特な刺激臭が発生します。一般的に、油性塗料の方が水性塗料よりも耐久性が優れている一方、人体や環境への影響も大きくなっていきます。
【油性塗料の特徴】
油性塗料 | |
溶剤の成分 | 有機溶剤(シンナー) |
臭いの有無 | 強い |
耐久性・持続性 | (水性塗料に比べると)強い |
人体や環境への影響 | 影響は大きい |
光沢の持ち | 光沢は持続しやすい |
塗り方 | 火気厳禁で換気が必要、内装には不向き |
保管方法 | 保管には注意を要する |
乾燥にかかる所要時間 | 気温にかかわらず約5~6時間 |
価格 | (水性塗料よりも)高め |
油性塗料のメリット
- 油性塗料に使われている溶剤によって、耐久性の高い塗膜が作られます。
- 気温や天候にも左右されにくく乾燥します。
- 塗料の密着度が高く、あらゆる素材に塗装することができます。
- 水性塗料では対応できない素材にも塗装することができます。
- 油性塗料自らなめらかな表面になろうとする性質をもち、水性塗料と比べて美しい仕上がりになります。
油性塗料のデメリット
- 油性塗料に使われている溶剤(シンナー)によって、乾燥時に強い刺激臭が発生します。
- VOC(揮発性有機化合物)を排出するため、塗装する際は周辺への配慮が必要となります。
- 引火性が高い成分が含まれているため、作業時は取り扱いに十分気をつける必要があります。
■水性塗料と油性塗料、迷ったら<塗装のプロ>に相談しましょう
今回は水性塗料と油性塗料の違いについてご紹介しました。
どちらにもそれぞれのメリット・デメリットがあることがおわかりいただけたかと思います。また、近年では水性塗料の開発も進み、多くのメリットを兼ね備えたものも出てきていますので、選択肢も増えてきています。
これから外壁塗装を検討されるなら、建物にどんな塗料が適しているか、リフォームをしたい箇所への塗料との適正具合なども考慮していくことになります。
塗料選びに困ったら、ぜひ塗装のプロに相談してみましょう。