「塗り替えてすぐ剥がれてきた」「汚れがあって汚い」…。

外壁塗装トラブルはよく聞きますから、信頼できる業者に頼みたいですよね。

悪徳業者か優良業者か判断するポイントのひとつが乾燥時間です。

塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」と3回塗るのですが、その間に塗料を乾かす時間を設けます。

十分乾燥しなければ、仕上がりに悪影響を及ぼすためです。

そこで今回は外壁塗装の乾燥時間について目安や注意点を紹介します。

外壁塗装の乾燥時間はどのくらい?

外壁塗装の乾燥時間は3〜4時間が目安ですが、季節や塗料の種類によって変わります。

2時間で乾く場合もあれば、8時間以上かかる場合もあるのです。

一概に「何時間」と言えない2つの理由を紹介します。

冬より夏のほうが早く乾く

気温や湿度などによって乾燥速度が変わります。

例えば同じ外壁塗料でも、カラッと晴れた夏なら3時間で十分な場合もあれば、気温が低い冬では8時間程度かかる場合もあります。

例えば日本ペイントの「水性パーフェクトシーラー」の気温による乾燥時間を見てみましょう。

気温乾燥時間
5~10℃6時間以上
23℃4時間以上
30℃2時間以上
参考:水性パーフェクトシーラー|日本ペイント株式会社

同じ塗料でも、気温によって必要な乾燥時間が3倍変わっているのです。

外壁塗装は気温5℃以上・湿度85%以下なら施工できますが、冬や梅雨の時期には長い乾燥時間が必要です。

なるべく工事期間を縮めたいなら、気候が安定した春・秋がおすすめです。

外壁塗装の乾燥時間は季節によって変動する、ということを頭に入れておくといいですね。

水性塗料より溶剤塗料のほうが早く乾く

塗料の乾燥時間は水性塗料か溶剤塗料かによっても変わります。

一般的には水性塗料より溶剤塗料のほうが早く乾きます。

例えばアステックジャパンというメーカーではこのような時間差があります。

種類乾燥時間
モニエルパワープライマー(水性塗料)8時間以上
エポプレミアムシーラープライマーJY(弱溶剤)3時間以上

参考:モニエルパワープライマー | 製品詳細|建築用塗料メーカーのアステックペイント|防水・低汚染・遮熱塗料

参考:エポプレミアムシーラープライマーJY | 製品詳細|建築用塗料メーカーのアステックペイント|防水・低汚染・遮熱塗料

ここまで乾燥時間が異なる理由は、塗料の性質です。

水性塗料は水分が蒸発することで塗膜を作るので、気温が低いと乾燥にとても時間がかかります。

湿度にも弱く、塗装後に雨や結露・雪になると乾燥が大幅に遅れます。

一方、溶剤塗料に使用されているシンナーは揮発性が高く、乾燥時間が短い傾向にあります。

塗料の種類によっても、こんなにも乾燥時間が変わるんですね。

外壁塗装の乾燥時間を守らないとどうなる?

塗装の乾燥時間目安を知っていれば、トラブルを防げます。

季節や塗料の種類で時間は変わりますが、1回で3〜4時間の乾燥が必要です。

外壁塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りを行うため、工事を1日ですべて終わらせることはできません。

少しでも気温が低ければ半日かかることもあります。

塗装業者の工程表が1日で終わるようなスケジュールなら、乾燥時間を十分に取っていない可能性が考えられます。

塗り替え直後は問題なくとも、数年後に壁に異変があらわれます。

せっかく塗り替えたのにまた塗り替えが必要になり、お金が無駄になるでしょう。

では具体的にどのようなトラブルが起こるのか見てみましょう。

トラブル1.外壁塗装が剥がれてくる

乾燥時間を守らないと、塗装後2〜3年で剥がれてきます。

外壁塗装の耐用年数は通常10年程度で、経年劣化による剥がれ・膨れは避けようがありません。

しかし3年程度で症状が出てくるなら施工不良と言えます。

剥がれを放置すると建材にも雨が染み込むようになり、雨漏りや腐食を引き起こしてしまいます。

トラブル2.外壁塗装のヨレ・ムラが目立つ

乾燥時間が短いと、塗装にヨレ・ムラが生じます。

塗装がうまく定着せずに、浮き上がってしまっている状態です。

美しい仕上がりを期待していたのにガッカリですよね。

基本的には外壁塗装のムラは塗り直してもらえないのですが、明らかなムラがある場合は塗り直しに応じてくれるはずです。

トラブル3.外壁に汚れがつきやすくなる

外壁塗装は乾燥時間を守ることで機能を発揮します。

十分に乾かせば水切れがよく、汚れがつきにくく、きれいな状態が長持ちします。

逆に乾かす時間が短ければ防水性能が落ち、汚れが目立つようになります。

水切れが悪いため、壁にコケ・藻・カビがつく原因にもなるでしょう。

塗り替えて数年で汚れるなんてイヤですよね。

外壁塗装の乾燥時間について気をつけることは?

外壁塗装トラブルを避けるために、私達は何をすればいいのでしょうか?

ここでは外壁塗装の乾燥について注意点を3つ紹介します。

これから外壁塗装の業者を選ぶ人はしっかり確認しておきましょう。

注意点1.見積書をもらうときに確認する

外壁塗装のあとに「乾燥時間が短くないか?」と気づいては、対応が大変です。

できれば契約前に「この業者は信頼できるか?」と確認したいところです。

見積書をもらうときに乾燥時間や工事期間を質問をしてみましょう。

メーカーのパンフレットに乾燥時間の目安が書かれているので、その通りに答えてくれるかをチェックするのです。

パンフよりも大幅に短縮した時間を伝えてくるようなら、その業者は避けたほうがいいでしょう。

注意点2.完全乾燥するまで触らない

あまり知られていませんが、外壁塗装の乾燥は、実は4段階あります。

  • 指触乾燥:軽く触っても指が汚れない状態(塗装後1~2時間)
  • 半硬化乾燥:軽くこすっても塗装表面に跡がつかない状態(塗装後4時間~1日)
  • 硬化乾燥:指で押しても塗装表面に指紋がつかない状態(塗装後1週間程度)
  • 完全乾燥:塗装内部も完全に乾燥した状態(塗装後2週間以上)

半硬化乾燥まで乾燥が進めば重ね塗りはできます。

外壁塗装の乾燥時間がおおよそ3〜4時間と言われるのは、この「半硬化乾燥」を指しています。

しかし、乾燥時間は季節や種類により違います。

いまどの状態なのか、一般の方は簡単に判断できません。

「乾いたかな?」と指でつつくと、シワになったりヨレたりします。

業者の手抜き工事で不具合があれば補償対象になりますが、あなたやあなたの家族が起こしたヨレは補償から外れる可能性が高いです。

塗装から2週間以上経過するまでは触らないようにしましょう。

注意点3.ものを立てかけない

外壁塗装した壁にものを立てかけると、跡が付いてしまいます。

十分に乾燥していなければビニール傘や自転車にくっつき、塗装が剥がれる原因にもなります。

塗料の種類によって完全乾燥するまでの乾燥時間が違うため、具体的に「何ヶ月経っていればOK」とは言い切れません。

「見た感じ乾いているし、もう大丈夫でしょう。」と判断するのは危険です!

外壁塗装工事が終わっても半年から1年程度はものを立てかけないほうがよいでしょう。

外壁外壁の乾燥時間が守られていなかったらどうする?

気をつけてはいたものの、万が一悪徳業者に当たってしまった場合どうしたらいいのでしょうか?

簡単にまとめると、業者の保証で対応してもらえるか確認して、ダメなら第三者に頼ります。

具体的に説明しますね。

まずは外壁塗装業者の保証を確認する

まずは外壁塗装業者の保証期間や内容を確認してみましょう。

優良業者なら、保証の範囲内であれば対応してくれるはずです。

しかし、悪徳業者が相手だと、こちらが施工不良だと思っていても、断ってくるかもしれません。

また、業者が倒産して保証が無効になるケースもあります。

外壁塗装業者の保証が使えない場合は次の段階に進みましょう。

「住まいるダイヤル」に相談する

外壁塗装業者と話し合っても解決に至らない場合、第三者機関への相談を検討してください。

消費生活センターや弁護士への相談が思いつくと思いますが、おすすめは「住まいるダイヤル」です。

参考:住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

「住まいるダイヤル」とは住宅専門の相談窓口です。

トラブル事例がたくさん載っているため、あなたに近い事例を見つけることができます。

トップページの「相談事例検索はこちらから」をクリックして、「外壁」などのキーワードを入力します。

例えば「外壁塗装工事の出来映えが悪い。業者とどのように交渉すればよいか。」といった事例が表示されます。

回答にはこのようなことが書かれています。

  • 「補修や損害賠償を検討する」
  • 「瑕疵かどうかは裁判官の判断による」
  • 「汚れた部分については清掃代金相当額の損害賠償請求が可能」
  • 「工事代金を払わないままでいると法的措置を取られるかもしれない」

あなた自身も、次にすべきアクションが分かるでしょう。

参考:外壁塗装工事の出来映えが悪い。業者とどのように交渉すればよいか。 | 電話相談事例 | 相談事例を探す [住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)]

外壁塗装業者と折り合いがつかないときは「住まいるダイヤル」を活用しましょう。

まとめ

今回は外壁塗装の乾燥時間について目安や注意点を紹介しました。

乾燥時間は一般的に3〜4時間と言われていますが、季節や塗料の種類によります。

もしも十分な時間を置かない場合、数年で剥がれ・ヨレ・汚れが目立ち始めます。

この症状は外壁塗装の劣化にも当てはまりますが、通常10年経ってから現れる症状です。

塗り替え後2〜3年で異常が出てくるようなら施工不良と考えて良いでしょう。

契約前に信頼できる業者か見極めることが大切ですが、万が一悪徳業者に当たってしまった場合は「住まいるダイヤル」まで相談しましょう。

これから塗替えを予定しているなら、外壁塗装の乾燥時間をしっかり守る業者を見つけ、キレイなお家をキープしてください。